ステープルによる機能的端々回結腸吻合では、手縫いによる吻合と比較して、漏出の減少が認められる。
回結腸吻合は、右側結腸癌およびクローン病に対して行われることが多い。吻合は、リニアカッターステープラーを用いて、または手縫いにより行なわれる場合がある。ステープルと手縫いによる回結腸吻合を比較した個々の試験では、合併症発生率にほとんど差は認められていないが、わずかな差を検出するには検出力が不十分である。本レビューは、2007年のコクラン・レビュー初回発表の更新である。
ステープルおよび手縫いによる手技で実施された回結腸吻合のアウトカムを比較すること。ステープルによる手技の方が合併症が少ないという仮説の検定を実施した。
1970年から2005年まで、成人における回結腸吻合に対するリニアカッターステープラーと種類を問わず縫合手技を比較したランダム化比較試験(RCT)について、MEDLINE、EMBASE、Cochrane Colorectal Cancer Group Specialised Register(SR-COLOCA)、コクラン・ライブラリを検索し、2010年12月に更新した。1970年から2010年までに次の学会で発表された抄録をハンドサーチした。American Society of Colon and Rectal Surgeons、Association of Coloproctology of Great Britain and Ireland、およびEuropean Association of Coloproctology。
成人におけるリニアカッターステープラー(順蠕動側々または機能的端々吻合)と種類を問わず縫合手技を比較したRCT。
適合する研究を選択し、方法論的質を評価した。関連性のある結果を抽出し、欠測データについては著者に問い合わせた。十分なデータがある場合は、RevMan5を用いてメタアナリシスを実施した。 回結腸吻合の適応症としての癌および炎症性腸疾患について、サブグループ解析を実施した。
その他の吻合を含む研究については、個々のデータを著者から入手した後、回結腸吻合を受けた参加者1,125例(ステープル441例、手縫い684例)に関する7件の試験(1件の未発表試験を含む)を選択した。規模が最も大きい5件の試験における割りつけの隠蔵化(コンシールメント)は適切であった。ステープルによる吻合では、手縫いと比較して、吻合部漏出が有意に少なかった[S = 11/441、HS = 42/684、OR 0.48(0.24、0.95)、p = 0.03]。1件の研究では、無症候性の漏出を確認するため、ルーチンの放射線検査が実施されていた。4件の研究の癌患者825例のサブグループでは、ステープルによる吻合で吻合部漏出が有意に少なかった[S = 4/300、HS = 35/525、OR 0.28(0.10、0.75)、p = 0.01]。非癌患者のサブグループ解析(研究3件、患者264例)では、報告されたアウトカムに差は認められなかった。その他のすべてのアウトカム(狭窄、吻合部出血、吻合時間、再手術、死亡率、腹腔内膿瘍、創傷感染、在院期間)については、有意差は認められなかった。